筆者が小学生の頃のとある日、学校からの帰りの道端にふと目をやると「赤い実のなる木」が見えた。
それが『グミ』という名の植物である。
筆者のようなド田舎出身の方ならば、ありふれた、そして懐かしく感じる樹木になるだろうか。
逆に都会住まいの方にとっては、見たことも聞いたこともない木かもしれない。(都会においては、この木が生えていることは、ほぼほぼ無いと思われる)
そう、この『グミ』という植物は鑑賞面では多少の彩り(若い実の黄緑・熟した実の濃赤)こそあれど、果実をつけるその他の樹木に比べ、ハッキリ言って「味」は微妙であり”商品価値的な意味”としては育てるに値しにくいものなのだ。
※「味」については後述あり。
この木が生えているとしたら、「田舎の山地に自生しているもの(日本固有の種もある)」か「園芸の一種として、ごく一部の民家の庭に植えられているもの」のいずれかであろう。
したがって、『グミの木』を都会で見かけることはほとんどないというわけだ。
『グミ』は、バラ目・グミ科・グミ属に分類される被子植物の総称である。
筆者が子どもの頃は、あのお菓子の「グミ」に由来するものだと思っていたのだが、実際は全くもって異なる。
お菓子の「グミ」は、ドイツ語で”ゴム”を意味する「Gummi」から。
今回の『グミ』は大和言葉に由来するらしい。
さて、その気になる『グミ』の熟した赤い実の味についてであるが、繰り返しになるが“微妙”と言える。
つまり、不味くもなければ、別に美味しくもない。
“若干の甘さ”と“渋み”
が特徴と言えよう。
※この”渋み”は含まれる「タンニン」という成分によるもので、その他の栄養素としては「リコピン」「ビタミンE」「βカロテン」などを含む。
以上、『グミ』の味についての若干 否定的な意見を並べてきたわけであるが、小学生だった頃の筆者はこの『グミ』を見つけると、友人達とこぞって木の下に群がっては、ワイワイ騒ぎながらもぎ取って食べたものだった。
本当にしつこいようだが、この実は特別美味しいものではない。
よって、商品になるような果実でもないから、八百屋やスーパーなどには普通 陳列されない。
お子ちゃまだった筆者の舌でもそれくらいは判る。
それでも、あの頃の我々にとっては“幸せな味”、そして“幸せなひと時”だったのだ。
とにかくワクワクして、楽しかったのだ。
各家庭にインターネット環境なんて当たり前ではなかったあの時代。
スマートフォンやゲームアプリや動画配信なんぞ夢にも思わなかったあの時。
「自然界(動・植物、山や川や海)」が“一番の遊び相手”だった。
我ら子ども達は、“恐ろしく狭い世界”で“無限の可能性”を求めて遊んでいたのだ。
あの頃の“ワクワク”と『グミ』の実の“なんとも言い難い不思議な味覚”を生涯忘れることはできないだろう。
分類 | |
界 | 植物界 Plantae |
階級なし | 被子植物 angiosperms |
階級なし | 真正双子葉類 eudicots |
目 | バラ目 Rosales |
科 | グミ科 Elaeagnaceae |
属 | グミ属 Elaeagnus |
学名
Elaeagnus L. |
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英名
Silverberry Oleaster |