緊急ミッション発令!
『口を大きく開けて、レモンの丸絞り果汁を全て飲み干せ!』
『梅干しをなるべく舌に擦り付けるようにしてゆっくり食せ!』
『酢をガブ飲みせよ!』
『シゲキックス(懐かしい、、、まだあるのかな。このお菓子)の1袋を一気に頬張れ!』
文字を読んだだけで唾液分泌が止まらなくなるだろうこれら、
『酸味の強襲』
にあなたは耐えられるだろうか?
唯一、これに対抗できる武器があるとするならば、それは、
「ミラクルフルーツ(ミラクルベリーとも呼ばれる)」だ。
ミラクルフルーツとは、西アフリカ原産の常緑樹木(高さ6m以上にもなることがあり、白色の花を咲かす)で、
小粒の「赤い実」をつける。
この赤い果実ミラクルフルーツのまさにミラクルな効能が、上記の『酸味の強襲』に打ち勝つ手段。
一言で言うならば、
『酸味・苦味を甘味に変換できる』。
なんと!ミラクルフルーツを食べた後で、強い酸味を持つ食物(レモンや梅干しなど)を食しても一切酸っぱいとは感じず、むしろとても甘く美味に感じるのである。
苦味を持つ食物にも対応可能。
それらの仕組みはこうだ。
ヒトの舌には『味蕾(みらい)』という細胞が多数(約10,000個)存在している。
そもそも『味覚』は、「甘味」「塩味」「酸味」「苦味」「うま味」の5つに分けられるのだが、「それぞれ」を味蕾にある専用のカギ穴(受容体)が「別々」に受け取る。
例えば、酸味のカギは酸味のカギ穴にしか入らない。
カギと穴がピッタリとはまった時、初めてその味の情報が脳に送られ、味覚を感じることができる。
「甘ーい♡」とか「苦ぇ〜!!」
ミラクルフルーツを食べると、まず、舌の上に「ミラクリン」という糖タンパク質が付着する。
(みらくりん ってなんか かわいい。。。。♡)
次に、酸っぱさや苦味を持つ食物が口の中に入ると、このミラクリン分子が反応し、味蕾の『甘味』のカギ穴にぴったり入り込む(強く結合する)。
すると、食べた酸味・苦味を持つあらゆる食物の刺激よりも、『ミラクリン分子と甘味の味蕾の結びつき』が優先され、「甘ぁ♡」と脳が勘違いしてしまうというわけだ。
この効果は、30分~2時間程度持続する。
「ミラクルフルーツ」「ミラクリン」「ミラクルな効能」とやたらミラクルずくめでお送りした今回。
もはや「ミラクルフルーツ」の虜になっている諸君も多いとは思う(笑)
しかし、、、、。
生物学上、元々「酸味」とは「腐敗」を、「苦味」とは「毒」を示すシグナルであった。
「酸味(腐敗)」「苦味(毒)」これらを「美味しく甘く」錯覚させてしまうミラクルフルーツはもしかすると、
味覚を支配してしまう『悪魔の実』なのかもしれない。
分類 | |
界 | 植物界 Plantae |
階級なし | 被子植物 angiosperms |
階級なし | 真正双子葉類 eudicots |
目 | ツツジ目 Ericales |
科 | アカテツ科 Sapotaceae |
属 | フルクリコ属 Synsepalum |
種 | ミラクルフルーツ S. dulcificum |
学名
Synsepalum dulcificum (Schumach. & Thonn. Daniell.) |
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和名
ミラクルフルーツ、ミラクルベリー |
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英名
miracle fruit, miraculous berry |