【カモノハシ】昨日も今日も、きっと明日も…科学者の頭を悩ませ続け、同時にワクワクさせ続ける珍獣界一の珍獣

よそ2億年前、かつて地球上に存在した超大陸「パンゲア」は、例えば、おじいさんが「よいしょ…そろそろ畑仕事に行ってくるとするかな」と重い腰を上げるように、ゆっくりと分裂し始めた。

 

その中でも、のちの「オーストラリア大陸」は他の大陸たちよりも早めにスタートを切り、動き出した。

 

この「オーストラリア大陸のスタートダッシュ」が、現在のオーストラリアの「独自の進化を遂げた多種多様な珍獣たち誕生の要因」である。

 

ある者はドラ○もんもびっくりの「我が子を入れる袋」をお腹に持ち、

 

ある者は鳥のくせに「飛ばないこと」を選び、

 

またある者は一日中、木にしがみつき「ユーカリ依存症」を起こしている。



そんな珍獣パラダイスの王様が、単孔類「カモノハシ」であろう。

 

「単孔類」とは、尿道、肛門、子宮口が全て繋がった「排出の穴を1つしか持たない動物」のことであり、この「カモノハシ」と「ハリモグラ」の2種類しか地球上に、しかもオーストラリアにしか存在しない。

 

カモノハシは、【鳥類】のような「くちばし」を持ち、両手両足に携えた「水かき」でスイスイ泳ぎながら暮らす【哺乳類】で、乳腺から染み出た「母乳」を子どもに与える。

 

カモノハシが珍獣として最も有名な要素が、哺乳類であるのにも関わらず「卵を産むこと」である。

 

また、オスのカモノハシの後ろ足には蹴爪があり、「毒」を分泌できる。つまり、【爬虫類】的要素も持っているのだ。

 

しかも、この毒はヘビ毒に似た成分の猛毒で、イヌくらいなら簡単に死に至らしめる。

 

オーストラリア大陸に降り立ち、初めてカモノハシを発見したヨーロッパ人が、国へ還り、他の科学者たちに「その存在」を伝えても、誰もそんなヘンテコな生命を信じることはなかった。

 

無理もない話である。

 

ある者は、「ビーバーかなんかの獣にカモのくちばしでも縫い付けたのだろう!」とまで批判した。

 

のちにカモノハシの存在が認められてからもこの「卵を産む哺乳類」の生態と進化の過程(爬虫類から進化した哺乳類的爬虫類の一派が単孔類の祖先なのではないかという考えが有力?)は謎に包まれたまま、今日も科学者の頭を悩ませ続けている。

 

「だが それがいい!」

 

筆者は某漫画のこの名台詞を言ってやりたい。

 

人間は万事において、すぐカテゴライズ(条件で分類)したがる。整理・整頓されていないと、もしくはどのカテゴリーにも当てはまらないと気が済まない人が多いのである。

 

しかし、筆者はこう思う、

 

科学において最も面白い要素は「イレギュラー(例外)が必ず出現することである」と。

 

「イレギュラー」は人々に「混乱」を招くと同時に、「好奇心」を加速させるのだ。

 

 

今日も明日も、人々に「謎」と「探求心」の渦を自分たちが巻き起こしているとは露知らず、カモノハシはぷかぷか水面で浮かんでいる。

 

分類
動物界 Animalia
脊索動物門 Chordata
亜門 脊椎動物亜門 Vertebrata
哺乳綱 Mammalia
亜網 原獣亜綱 Prototheria
単孔目 Monotremata
カモノハシ科 Ornithorhynchidae

(Gray, 1825)

カモノハシ属 Ornithorhynchus

(Blumenbach, 1800)

カモノハシ O. anatinus
学名

Ornithorhynchus anatinus

(Shaw, 1799)

和名

カモノハシ

英名

Platypus