『ハダカデバネズミ』、、、。
この生き物の名を聞いて、
「どういう意味の名前だろう?
まさか裸の出っ歯のネズミってことじゃないだろうし、、、。
どこかの国の言語なのかなぁ、、?」
とか思った諸君。
残念ながら、その「まさか」である。
由来は、インパクト大のルックスの通り、そのまんま『裸で出っ歯のネズミ』。
本当にそのまんまだ。ストレート過ぎる。潔いほど真っすぐだ。
(おそらく本人らにとっては不名誉であろう)こんな名前を付けられてしまった彼らを「擁護する」ことすら忘れてしまうほどだ。
彼らはその名の通り、体表にはほとんど毛が無く(裸)、うっすら細い毛が生えているだけだ。
ケニアやエチオピアなどのアフリカに分布し、体長は10~14cmほどのげっ歯類。
地中に巣を作り、群れで生活している。
まず着目したいのは、ハダカデバネズミの体温調節機能について。
他のネズミや我々ヒトを始めとする「哺乳類」は基本的に、『恒温動物』であり、周囲の気温にほとんど左右されず体温をキープできるのだが、
ハダカデバネズミは同じく哺乳類のくせに、外気温に応じて自己の体温が変化する、まさかの『変温動物』なのだ。
地上に比べて環境の変化が少ない地中棲である彼らにとって、体温キープの能力は必要ないのかもしれない。
我々も含む『恒温動物』は普段何気なく体温調節を行っているように感じるが、実は体温を一定に保つことは非常に多くのエネルギーを消費しているのだ。
よって、彼らはある意味エネルギー効率が非常に良い哺乳類と言えるわけだ。
次に述べたいのは、彼らは『社会性』を持つ動物であるということ。
『社会性昆虫』としてお馴染みの「アリ」や「ミツバチ」。
この昆虫たちは、集団生活する中で分業(役割分担)が進んで形態(能力)的にも分化が見られる。
これと同様に、ハダカデバネズミたちもなんと『社会性』を持つのだ。
※哺乳類においてこの『社会性』を持つことは非常に珍しい。
彼らの群れには、
◇生殖カースト
※生殖を行う女王ポジションのメスと数匹のオス。生殖カーストのメスは群れ内では1匹のみ。オスもわずかである。
◇労働カースト
※雌雄混同で、生殖には基本参加しないものたち。「巣穴堀り担当」や「巣の防衛担当」、「食糧調達担当」など様々な役割分担がある。
平均75~80匹で群れを構成する。(稀に300匹以上の巨大組織まで確認されているとかいう話も、、。)
最後に、彼らの寿命や耐性について見てみよう。
ハダカデバネズミの寿命は、(いろいろな情報が出回ってはいるが)驚愕の30年越え!
他の一般的なげっ歯類の寿命(当然、種類によって異なるが)3~6年に対して、およそ5~10倍以上である。
ハダカデバネズミは環境悪化の際、体内代謝を極度に低下させることで細胞の酸化(老化)を防止し、長寿を実現していると考えられている。
また、彼らは低酸素・無酸素環境下でも長時間耐えることができる。
さらに、「がん」耐性を持つ遺伝子まで持っていると考えられている。
奇抜な名前や見た目ばかりに注目されがちな彼らハダカデバネズミであるが、
しっかり自分の仕事に専念(社会性を持つ)し、
様々な悪環境や老化にまさに “裸一貫” で耐え得る『タフボーイ・タフガール』
だったのだ!
分類 | |
界 | 動物界 Animalia |
門 | 脊索動物門 Chordata |
亜門 | 脊椎動物亜門 Vertebrata |
網 | 哺乳綱 Mammalia |
目 | 齧歯目 Rodentia |
亜目 | Hystricomorpha |
下目 | ヤマアラシ顎下目 Hystricognathi |
科 | デバネズミ科 Bathyergidae |
属 | ハダカデバネズミ属 Heterocephalus |
種 | ハダカデバネズミ H. glaber |
学名
Heterocephalus glaber (Rüppell, 1842) |
|
和名
ハダカデバネズミ |
|
英名
Naked mole rat |