【カサゴ】お手軽に”高級魚”を狙おう!『穴釣り』入門講座!!

『カサゴ』とは、カサゴ目フサカサゴ科(あるいはメバル科)に属する海水魚である。

 

日本近海を含む太平洋西部の暖海域に分布し、沿岸の岩場や海藻群、漁港の岸壁沿い、消波ブロック(いわゆるテトラポッド)の隙間などに生息し、全長30 cm程になるものもいる。

 

地域によって、『アラカブ』『ボッカ』『ガシラ』などの異名を持ち親しまれているお魚だ。

 

とりわけ釣り人にはお馴染みの魚であり決して珍しいものではないのだが、漁船の漁(りょう)などでは大量に上がる魚ではないので“比較的高価”な部類と思われる。

 

都会の料亭などで出てくるとしたら、それは間違いなく“高級魚”に当てはまるだろう。

 

『カサゴ』大変美味な白身魚であるが、頭でっかちなフォルムをしており可食部は少ない。

 

◇味噌汁,吸い物(ウロコと内臓を取った丸ごと1匹、もしくは捌いた後に残る頭や中骨、ヒレなど【あら】を鍋に入れる。良い脂と出汁が出て絶品だ。)

 

 

◇煮付け(薬味などと共に甘辛く煮付けたもの。カサゴのプリッとした身とその味が、日本酒に見事に合う。)

 

 

◇塩焼き(熱を通すことで、魚本来の味+旨味を感じられる一品。)

 

 

◇刺身(大きな個体が釣れた時にしか得られない贅沢な一品。クセは無い。甘味が強く非常に美味。)

 

 

◇唐揚げ(下処理をした小さめの個体に軽く下味を付け、片栗粉などを薄っすらまぶし、高温でカラッと揚げる。2度~3度揚げするのが良い。ヒレも含めバリバリ食べられ、香ばしい。)

 

などが『カサゴ』の主な食べ方であるが、他にも「アクアパッツァ」や「鍋の具材」としてもよろしい。

 

筆者イチオシは、「汁物」「唐揚げ」だ。

 

今回は、そんな身近でありながら美味な高級魚を”釣りビギナーの方”にも簡単に狙える『穴釣り』のご紹介である。

 

※下記は、あくまで釣り初心者向けです。

 

『穴釣り』とは? 釣れる魚は?

穴釣りの“穴”とは「テトラポッドの隙間」を指し、短い竿を使ってその穴に”エサ”を付けた仕掛け針を落とし込み、メインターゲットである『カサゴ』等を狙う釣り方である。

 

用意する釣具がシンプル(比較的リーズナブルに揃えられる)で、遠くに仕掛けを投げる必要はなく、真下に落とすだけで楽しめる、初心者にも易しい釣りだ。

 

地域(ポイント)・時期にもよるが、本命の他に「メバル」「キジハタ」「ソイの仲間」「アイナメ」「ベラ」「ギンポ」「フグ」等といった多種多様な魚がHITすることもある。

 

稀に、「カニさん」が釣れてしまうこともあるくらいだ。

 

 

『穴釣り』に適した時期・時間帯は?

穴釣りは、実は年中可能な釣りである。

 

その中でも筆者がすすめたいのが【夏の終わり~秋にかけて】である。

 

『カサゴ』の穴釣りは、魚の身質的(旬)にも”冬”が推奨されていることが多いのだが、個人的にはおすすめしない。

 

気温が低い中での釣行は心身ともに骨が折れるし、雪が降る地域においては足元が悪く大変危険であるからだ。

 

また、【晴れた日の明るい時間(朝から夕方手前まで)】に出かけるのが良い。

 

夜中でもできないことはないのだが、『カサゴ』たちは暗くなってからエサを求め、テトラポッドや岩場から外へ抜け出す習性があることが知られている。

 

つまり、“穴”の中に居ない可能性があるわけだ。

 

(これはまるで”不在の家”に”新聞とか保険の勧誘”に行くようなもの)

 

それに暗いので、良い穴も見つけにくいし仕掛けも落としにくい。

 

※夜釣りにおいては水面をライトで照らしてはいけないのが原則だ。魚らが光に警戒して逃げたり、隠れたりしてしまう。

 

そして何より単純に足元が暗く、日中よりも危険度が何倍にも増すからだ。

 

このように色々な側面からも、穴釣りは夏・秋の晴れた日の明るい時間帯に挑戦しよう。

 

 

『穴釣り』に適した場所(ポイント)は?

穴釣りの”穴”の由来にもなっている「テトラポッド帯」で竿を出すのが定番。

 

理由については後述するが、できるだけ水深の深い穴を複数持つテトラ帯を選ぶと良い。

 

浅い穴は釣果に繋がりにくいので避ける。

 

岸に近いところにある、海に完全に沈んでいるコンクリートブロックの穴や隙間を狙うのも良い。

 

このようにテトラポッド上を転々と移動していく釣りなので、危険と隣合わせであることを重々承知してもらいたい。

 

言うまでもないが、海中やテトラ間に落ちたりしたら大事である。

 

というわけで、“自信のない方”“お子さん”の場合、無理してテトラ上に乗らず、

 

平坦で安全な堤防側に立ち、“岸壁とテトラポッドの隙間”に仕掛けを落とす

 

周りにテトラが無くても、“漁港の岸壁沿い”に仕掛けを落とす

 

というような釣法でもお魚は十分狙えるので是非参考にしていただきたい。

 

 

『穴釣り』に必要な(おすすめの)道具は?

◆釣り竿(ロッド)

 

基本的に短いタイプならば、どんなものでも釣りは成り立つかと。

安物でも構わない。

各メーカーから穴釣り専用ロッドも販売されている。

長さの目安は、90cm~200cm前後。

短ければ短い程、手元での扱いが容易であるが、ある程度の長さがあると少し遠くの穴にもアプローチできる。

デザイン面も含め、ご自身の好みに合わせてチョイスしていただければ良い。

釣具屋の店員にアドバイスを仰ぐのも良いだろう。

 

◆リール(ベイトリール、スピニングリール)+道糸(ライン)

 

リールも小さめのものならば、安物でも穴釣りは成立するだろう。

穴釣りでは、基本的には”ベイトリール”というタイプが推奨されているが、個人的には”スピニング”タイプでも成り立つと思っている。

最初からリールに道糸が巻かれているものならば、その糸をそのまま使っても良い。

どうせやるなら道具にも気を遣いたいという”こだわり派”の方ならば、道糸(太さや素材)やリールも店員に相談しながら、予算と相談しながら、決めていくのも楽しみの1つとなるだろう。

 

◆ブラクリ(おもり+針)

 

ブラクリとは、円錐状(ひし形)のおもりと針がセットになっている(くっついている)、主に穴釣りに使用する仕掛けである。

穴釣り専用の仕掛けと言っても差し支えないだろう。

このおもりの形状がテトラや岩の間をすり抜けやすく深く穴を探ることができるのだ。

リールを巻いて上げる時も根がかりしにくく、回収しやすい。

道糸の先にこのブラクリを結合しよう。

 

◆エサ

 

上記のブラクリの針の先にエサを付ける。

エサは様々なものが使える。

時と場合により、食い付きの良し・悪しがある場合もあるので可能なら2、3種類のエサを持参できると良い。

以下に一例を上げるので、参考にして欲しい。

 

・青虫(アオイソメ)

・砂虫(スナイソメ)

・オキアミ

・サバやイカの切り身

・魚肉ソーセージ

 

その他には、その釣り場で獲ったカニなどをエサにすることもできる。

また、ワームと呼ばれるルアー(擬似餌)を針先に付けて動かしても釣れることがある。

 

◆スパイク付き長靴、スパイク付きシューズ

◆ライフジャケット

 

この2つに関しては、安全上必ず用意していただきたい。

スパイク付きの靴は、テトラポッドの上を移動する上で必須だ。

かと言って、スパイク靴ならば絶対に滑らないというわけではない。

特に凹凸の少ない材質のテトラや濡れている面上ではかなりの注意が必要。

ライフジャケットは万が一、水へ落下した場合を想定して、穴釣りに限らずどんな釣り場でも装着することを強くおすすめする。

一言でライフジャケットと言っても色々なタイプが存在するので、これもお店の人に相談した方が良いだろう。

 

その他には、

 

◆クーラーボックス

◆帽子

◆グローブ(釣り用手袋)

◆防寒着

◆フィッシュグリップ(釣れた魚をつかむもの)

 

などがあると良いだろう。

必要に応じて、要る物はしっかりと備えよう。

 

 

『穴釣り』の釣り方・コツは?

先述のように、原則として「テトラポッドの隙間(真下)」にエサをつけたブラクリ仕掛けを落とす。

 

ゆっくりで構わないので、焦らずできるだけ深場まで落とそう。

 

落としている最中に一度仕掛けのおもりが止まっても、少し竿を(仕掛けを)揺することで更に深部へ落ちることがあるので、とにかく限界まで落としていく。

 

それから、若干リールを巻き取り(ほんの少し仕掛けを浮かすように)その場でステイさせ、『カサゴ』らのアタリ(魚がエサに食らいついてくること)を待つ。

 

反応が無ければ、更に少し糸を巻き、またアタリを待つ。

 

これを繰り返し、段々と巻き上げていくわけだ。

 

ステイさせるだけでなく、竿先を使って少しだけエサを上下させる軽い“アクション”を加えるのも良いだろう。

 

このように、なるべく「深い穴」をチョイスすることで幅広く魚を探れるため、浅い穴に比べ、1回の”落とす→巻き上げる”でHITする確率が上昇することとなる。

 

また、経験上 深部であればある程、大ぶりな『カサゴくん』がいる可能性も高い。

 

もしアタリがないようなら、次の”良穴”を探してドンドン落としていこう。

 

そうしているうちに『カサゴ』が食いついてくる時が来るはずだ。

 

彼らは大きな口をしており、基本的には一口でエサを食らうだろう。

 

その時に、アワセ(魚がアタった時に竿を上方向に動かし、針を口にかける【フッキングと言う】こと)を行う。

 

力いっぱい勢い良く動かす必要はない。

 

むしろ竿先だけ軽くしゃくり上げるイメージ位が丁度良い。

 

アワセが成功したらば、巻き上げていこう。

 

釣り上げたら、焦らず平坦で安全な堤防の上などに移動して、『カサゴ』の口から針を外そう。

 

『カサゴ』背ビレは毒こそないが、非常に鋭いので怪我に注意する。

 

成長が決して早くない魚であるので、15cm未満の小さな個体やお腹の膨れた(抱卵)しているメスはできるだけリリースしてあげよう。

 

1匹釣れた穴に関してはそれで終わりではなく、続けて2匹目、3匹目…と立て続けにHITすることも多いので、粘ってみるのも釣果upの1つの策であろう。

 


 

 

さて、ここまで『穴釣り』の簡単なご紹介であったが、興味を持ってもらえただろうか。

 

繰り返しになるが、穴釣りに限らずフィッシングにおいては【危険】が付き物である。

 

また、自然界には“毒を持つ魚”“危険な生き物”もいるので、そこにも十分注意していただきたい。

 

安全第一で、皆さんも高級で美味しいお魚『カサゴ』を狙ってみよう。

 

分類
動物界 Animalia
脊索動物門 Chordata
亜門 脊椎動物亜門 Vertebrata
上網 顎口上綱 Gnathostomata
条鰭綱 Actinopterygii
亜網 新鰭亜綱 Neopterygii
上目 棘鰭上目 Acanthopterygii
カサゴ目 Scorpaeniformes
亜目 カサゴ亜目 Scorpaenoidei
フサカサゴ科 Scorpaenidae

あるいは メバル科 Sebastidae

亜科 メバル亜科 Sebastinae
カサゴ属 Sebastiscus
カサゴ S. marmoratus
学名

Sebastiscus marmoratus

(Cuvier, 1829)

シノニム

Sebastes marmoratus

(Cuvier, 1829)

和名

カサゴ (鮋・笠子・瘡魚)

英名

False kelpfish

Marbled rockfish