春を告げる魚「春告げ魚(はるつげうお)」として、有名なものがいる。
それが『メバル』(冬から春が旬)である。
日本(北海道~九州)の沿岸に棲息、全長20~30cm程。
カサゴ目・フサカサゴ科・メバル属に分類される海水魚である彼らは、磯などの岩場での釣りのターゲットとして有名(岩やテトラポッドの間に潜み、エサを待ち構えるスタイルの魚を”根魚”もしくは”ロックフィッシュ”と呼び、カサゴやキジハタなども含む)で、エサ釣りはもちろん、近年はルアー釣りも人気である。
メバル狙い専用のルアーロッド(竿)も各メーカーから売り出されており、釣り人の間ではこれらを使った釣りをなんと!「メバリング」と呼ぶ。
これなら、夏休みの”虫取りキッズ”や”ザリガニ釣り親子たち”の採集活動はもはや「バッティング(バッタ)」、「セミング(セミ)」、「ザリガニング(ザリガニ)」とでも呼ぶべきなのだろう(笑)
『メバル』ハンターらは、夜行性である彼らを狙ってもっぱら夜釣りに繰り出し、「ワーム」と呼ばれるポリ塩化ビニール製の“イモムシ型”のルアーに添加物(魚が食いつきやすくする)を加えたものを針先に付け、思い思いに竿を出している。
そんな彼ら『メバル』は“白身”の大変美味しいお魚で、
◇刺身
◇皮付きの身を湯引き→冷水で処理したもの(皮霜造り)
◇煮付け
◇焼き魚
◇味噌汁
など、どれをとっても間違いはない。
中でも筆者オススメは、「皮霜造り」と「煮付け」である。
クセがほぼ無く、非常に美味。
実際、店や市場(元々、流通量は少ないと思われる)では“高級魚”として扱われる。
さて、この『メバル』は古くから「赤色」「黒色」「白色」の3色のタイプが認識されていたが、生息域も少し異なる傾向のあるこれらは、
単に生息域による”保護色”による違いで、同一の種である
と考えられていた。
しかし、、、2008年にこれら3タイプは「”DNAレベル”で異なる別々の種である」と発表されたのだ!
つまり、
◆アカメバル(学名:Sebastes inermis)
◆クロメバル(学名:Sebastes ventricosus)
◆シロメバル(学名:Sebastes cheni)
という風に、3種類に分けられるということだ。
事実、これらの胸鰭軟条(むなびれなんじょう:胸びれを作る筋状の部分)の数も以下のように違う。
◆アカメバル(胸鰭軟条数:15本)
◆クロメバル(胸鰭軟条数:16本)
◆シロメバル(胸鰭軟条数:17本)
とまぁ、マニアックかつ小難しい「分類」のお話を繰り広げてきたわけであるが、正直に言ってどの色も「美味」なので気にせず、皆さんはフィッシングに興じ、美味しく食していただければと思う。
分類 | |
界 | 動物界 Animalia |
門 | 脊索動物門 Chordata |
亜門 | 脊椎動物亜門 Vertebrata |
上網 | 顎口上綱 Gnathostomata |
網 | 条鰭綱 Actinopterygii |
亜網 | 新鰭亜綱 Neopterygii |
上目 | 棘鰭上目 Acanthopterygii |
目 | カサゴ目 Scorpaeniformes |
亜目 | カサゴ亜目 Scorpaenoidei |
科 | フサカサゴ科 Scorpaenidae
あるいは メバル科 Sebastidae |
属 | メバル属 Sebastes |
種 | メバル
S. inermis と近縁の2種 |
学名
Sebastes inermis (Cuvier et Valenciennes, 1829) Sebastes cheni (Barsukov, 1988) Sebastes ventricosus (Temminck et Schlegel, 1843) |
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和名
メバル = (目張・鮴・目張魚) |
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英名
Japanese rockfish Japanese sea perch |