あらゆる生命の中で、最も大きく最も優しい陸上動物が「ゾウ」であろう。
実際、「アフリカゾウ」は地球上の陸棲動物の中で、最も大きな身体を持つ。
体長は6~7.5m、肩までの高さは3、4mほど、体重は10tにもなる個体もいる程だ。(寿命は約60年!)
「身体が大きい」ということには一長一短があるのだが、一番の長所は、
『天敵が存在しない』
ということではないだろうか。
やはり自然界には、「最も大きい=最も強い」という暗黙のルールがあるのだ。
子供や年寄りのゾウでない限り、捕食者に襲われることはまず無い。
「百獣の王」ライオン様でさえ、ゾウさん達には道を譲るのである。
ちなみに、ナウマンゾウやマンモス(これらの化石は日本でも発見されている)が、現在のアジアゾウやアフリカゾウの祖先というイメージを持っている人が多いが、直接の祖先ではない。
上記の4種のゾウの仲間はその祖先(原始的なゾウ)から枝分かれした別々の種なのだ。
アフリカゾウが生み出す「自然の循環」
アフリカゾウは、言うまでもなく草食動物であり、巨体がゆえに毎日たくさんのエサを摂る。
したがって当然、糞(フン)も多い。
彼らの胃腸の能力では植物の繊維等を完全に消化することができないので、糞の中にはまだ生きている種子が残っていることもある。
あちこちに落ちたこの糞は、それに含まれる豊富な養分により、そこから芽が出て、いつしかあちこちで小さな森を形成してゆく。
ゾウの「食事と排泄」が「森を循環させる」のだ。
また、ゾウの長い鼻にはなんと!水源(オアシス)を掘り当てる不思議な力があるそうなのだ。
ゾウによって掘られた水源は、他の多くの動物が利用する。
そして、その動物たちは今日もまた1日生きていけるのである。
ゾウの「優しい瞳に秘められた愛」
アフリカゾウは十数頭までの群れで生活する。群れのリーダーは「メス」だ。
このリーダーはいつも自ら先頭に立って、安全な道かどうか確かめながら、仲間を導く。
また、ゾウは「記憶力」にも秀でていると言われており、リーダーがこれまでの記憶から群れを食料の豊富な場所やオアシスへ連れていくこともあるのだ。
このように、アフリカゾウは仲間との絆が非常に強い。群れの仲間はみんな家族なのだ。
群れでケガや病気にかかったものが出れば、家族全員で養護する。
群れ内の日常のコミュニケーションにおいても、家族愛を体現している。
彼らは、仲間の口元に自慢の長い鼻を差し出す。
当然、ゾウにとって鼻はエサを取ったり、水浴びをしたりと最重要な部位と言える。それを相手の口元に持っていき、万が一、噛まれでもしたら一大事であろう。
にも関わらず、彼らは鼻でスキンシップを続ける。
つまり、こういうことだ。
◆「君は僕の鼻を傷つけないと信じている。もちろん、僕も君を傷つけたりはしない。」
☆「私も同じ気持ちよ。でも、もし仮にあなたが私の鼻を傷つけたとしても構わない。きっと、その傷さえ愛おしく思えるわ。」
◆&☆「あぁ、なんて幸せな家族なのだろう。さあ、今日も懸命に歩いていこう。明日に向かって生きていこう。」
これが映画なら『全米が泣いた!』と大ヒットを記録するのは間違いないだろう(笑)
ゾウが優しい目をしているのは、このような『家族愛』がにじみ出ているからなのかもしれない。
アフリカゾウは、
その大きな身体で「仲間」を、そして他の動植物を含む「サバンナという大地全体」を優しく包み込んでいるのだ。
分類 | |
界 | 動物界 Animalia |
門 | 脊索動物門 Chordata |
亜門 | 脊椎動物亜門 Vertebrata |
網 | 哺乳綱 Mammalia |
目 | 長鼻目 Proboscidea |
科 | ゾウ科 Elephantidae |
属 | アフリカゾウ属 Loxodonta |
種 | アフリカゾウ L. africana |
学名
Loxodonta africana (Blumenbach, 1797) |
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和名
アフリカゾウ |
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英名
African elephant |