言うまでもなく、オーストラリア大陸は動物好きの方々にとってみるとまさに「宝島」の1つであろう。
コアラ、カンガルー、ウォンバット、エミュー、カモノハシ、ハリモグラ…等々
オーストラリアは“独自の形態を持つ(この大陸にしか生息していない)珍獣たち”の宝庫だ。
そんなユニークなオーストラリア大陸の動物たちの中で、今回着目したいのが『ギンカモメ』だ。
「は?銀かもめ?何それ?」
という声が聞こえてきそうなので、1つ前もってはっきりと伝えておくと、確かにこの『ギンカモメ』の存在は数あるオーストラリアの珍獣と比べ、すごーく地味だ。
ここは本来、キャッチーに「コアラちゃん」とか「カンガルーくん」のお話をすべきところなのだろうが、まさかの“超地味なカモメ”に焦点を当てるという、このような発想が筆者の悪い癖なのだろう。
実際、筆者も2019年の連休中に、オーストラリア最大の都市“シドニー”を訪れた。
この旅の筆者の一番の目的は「珍獣界一の珍獣 カモノハシ」との初対面だった。
これは当時、日本全国の動物園でも絶対に拝むことのできなかった動物なのだ。
加えて、上記で挙げたような”オーストラリア固有の珍獣たち”を見ることもまた楽しみだった。
予定通り、動物園や水族館でカモノハシも含め多くのアニマルたちとの“感動の対面”を終え、昼食でも取ろうかとシドニー湾沿い(湾沿いには、ランドマークであると言える“オペラハウス”や市街を一望できる“ハーバーブリッジ”等がある)の売店で注文した。
オーストラリアで最も一般的なファストフードの1つは“ハンバーガー”や“フィッシュ&チップス(白身魚のフライとフライドポテト)”だ。
例に漏れず、筆者もそれらを注文した。
しばらくして、パツ金お姉さんのウエイトレスが運んできた“ハンバーガー”と“フィッシュ&チップス”のデカさとボリュームに驚きつつも、晴れやかなハーバービューを眺めながらのランチはとても気持ちの良いものだった。
その時、ふと感じたのがヤツの視線だった。
そう、それこそが『ギンカモメ』だ。
彼らは、チドリ目カモメ科に分類される海鳥。
オーストラリア大陸を中心に分布する。
トップ画像の通り、赤い足とクチバシ、銀色の翼を持つ。
そして何より、クールで鋭い眼をしているのが特徴的だ。
その眼でヤツらが狙っているのは、筆者の“ハンバーガー”や“フィッシュ&チップス”だ。
シドニー湾の『ギンカモメ』たちは、観光客の食事を目当てに近づいて来るのである。
よくよく辺りを見てみると、なるほど所々にたくさんの『ギンカモメ』が飛んでいたり、歩いていたりしている。
決して人間に近づき過ぎず、かと言って離れ過ぎず、いつでも油断した観光客の食事を奪える距離感をキープしているのだろう。
幸い筆者は盗られることなく済んだのだが、何故だかヤツらのことを個人的に気に入ってしまった。
せっかくのオーストラリア旅行での印象に残った物事に「その辺をうろついている鳥」を挙げる者は一人もいないだろう。
それだけヤツらはシドニー中にありふれた存在であり、それだけ誰も気にも留めないようなとても地味な存在なのだ。
それでも、鋭い眼光もまじまじ見てみるとなんだか憎めない、愛嬌のあるルックスにすら不思議と感じてしまうのだった。
読者の皆様も、いつかシドニーを訪れた際は『ギンカモメ』の存在を頭の片隅に入れておいてもらえると、別に理由は無いが光栄である。
自然界の掟、それが“弱肉強食”だ。
生きる知恵を持った者だけが生き残る。
ある者は獲物を捕らえる罠を仕掛け、ある者は擬態して待ち伏せ、ある者は群れで襲いかかる。
また、ある者は観光客の注文した”ハンバーガー”を奪うことを日々企んでいる。
分類 | |
界 | 動物界 Animalia |
門 | 脊索動物門 Chordata |
亜門 | 脊椎動物亜門 Vertebrata |
網 | 鳥綱 Aves |
目 | チドリ目 Charadriiformes |
科 | カモメ科 Laridae |
属 | カモメ属 Larus |
種 | ギンカモメ L. novaehollandiae |
学名
Larus novaehollandiae (Stephens, 1826) |
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和名
ギンカモメ |
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英名
Silver Gull |