動物界において、
王様、一番、キング、最強、、これらが最も似合う動物とは?
と聞かれて「ライオン」以外に票は入らないだろう。
たくましい四肢とボディ、
威圧感の象徴のたてがみ、
鋭い眼光、
すべてを切り裂き・すべてをへし折る爪や牙。
北野武映画なら、事務所かなんかの奥の椅子に堂々と座って、煙草に火を付け吹かしていても全く不自然でないくらいの出で立ちである。
※ちなみに筆者は北野映画のファンである。ソナチネ、HANA-BI、アウトレイジ⑴が特に好み。
そんな獅子たちは、『プライド』と呼ばれる群(むれ)を持ち、その中はオス1〜2頭、メスと子供が数頭ずつで構成されている。
社会性を持つ獣なのだ。
日中、メスは数頭でハントに出かける。
シマウマやヌーなどの草食獣に、ゆっくりとそれぞれが別方向から近付き、逃げ場を封じるチームプレイで一気に仕留める。
あとはゆっくりと仲間内で喰らうだけだ。
そんなメスの奮闘をよそに、オスはダラダラ寝たり、メスの獲得したエサをいただいたりしているだけで、特に何もしていないように見える日常を過ごしている。
これが人間界の夫婦ならば、
「あんた、仕事いつになったら見つかるのよっ!」とか
「子供の面倒も、炊事洗濯も私ばっかり!自分の皿くらい洗ったらどうなの!」だの
「旦那が甲斐性無しで、、、ほんと結婚なんて地獄だわっ!」
、、、まず「離婚からの子供の養育費請求の日々」は間逃れないだろう。
では、オスのライオンの存在とは何なのか?
なぜ、これほどまで「百獣の王」と謳われているのか?
その答えは、
『自然界の掟 ~プライドの死守と略奪~』
というまるで壮大な映画のタイトルにありそうな恐るべき真実にあった。
青年となったオスのライオンは、生まれたプライドを離れ、放浪の旅に出掛ける。
彼の目的はただ一つ。そう、「他のプライドの略奪」だ。
老いたオスのいるプライドに目を付けると、青年ライオンは果たし状を突き付ける。
老いたオスもそれに応じる。いくら年寄りであろうともそのプライドの長として、売られた喧嘩に対して退くわけにはいかないのである。
まさに「プライド(誇り)」のぶつかり合いが始まった。
一方は急所を目がけ、もう一方も後ろを取られまいと応戦する。
爪、牙、そして全体重をフルパワーで相手にぶつけるのだ。
、、、。
どうやら青年ライオンに軍配が上がったようだ。
しかし、これで略奪の終幕とはならない。
ここからが本当の「悲しき自然界の掟」。
勝者のオスによる『子殺し』。
新しいこのオスは、そのプライド内にいるすべての子ライオンを一撃で次々と噛み殺していく。
一頭足りとも、自分以外の血縁は残してはならないのだ。
最後の子ライオンの息の根が止まると、
なんと!そのプライド内のメス(つまり、殺された子ライオンの母親たち)が発情し出す。
そうして新しくやってきたオスとの間に新しくもっと有能な血を引く子孫を残すのだ。
ここで、
「そんなの残酷だ!」
という声が聞こえてきそうだ。
無論、筆者も1人の人間である以上、一部は同感する。
しかしながら、生態系上これら『略奪と子殺し』には次のような重要な意味が隠されていると考えられる。
◇同プライド内の近親交配の危険性を無くすという意味
◇捕食者であるライオンの個体数が増え過ぎないように、また、それによって、捕食対象である草食動物たちが減り過ぎないように(食料を絶やさないように)するという意味
※この概念に関しては、同ブログ内の『イカ』のページでも触れているので是非立ち寄っていただきたい。
ある意味、彼らの『略奪と子殺し』とは自己のプライド内だけでなく、
「ライオンという種全体」を長く永く繋いでいこうという本能
なのかもしれない。
王が王である所以(ゆえん)。
それは、その物理的強さのみならず、
「種の継続」の為に悲しき厳しき自然界の掟を背負う『覚悟』に秘められているのだった。
分類 | |
界 | 動物界 Animalia |
門 | 脊索動物門 Chordata |
亜門 | 脊椎動物亜門 Vertebrata |
網 | 哺乳綱 Mammalia |
目 | 食肉目 Carnivora |
科 | ネコ科 Felidae |
属 | ヒョウ属 Panthera |
種 | ライオン P. leo |
学名
Panthera leo (Linnaeus, 1758) |
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和名
ライオン |
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英名
Lion |