【イカ(カナダイレックス 他)】海岸でイカを”拾う”!?月夜の晩に起こる”集団自殺”の謎に迫る!

10本足を持つ”軟体動物”『イカ』

 

日本ではもちろん、世界中で食材として愛されている。

 

刺身でも良し、

 

焼いても良し、

 

煮ても良し、

 

干しても良し!

 

どれをとっても非常に美味である。

 

余談だが、この記事の筆者は一夜干しした『ケンサキイカ(Uroteuthis edulis『スルメイカ(Todarodes pacificus)』軽く炙(あぶ)って”酒の肴”にするのが特別、好物である。

 

さて、そんな彼ら『イカ』であるが、食材としてだけでなく、生態も大変興味深い。

 

繁殖の時期になるとオスは「交接腕(こうせつわん)」という腕を伸ばし、メスの体内に“精子の入ったカプセル”を入れ込む。

 

これが彼らの“交尾”である。

 

メスは産卵に適した場所を見つけ、そこに卵を産み付ける。

 

それはもう途方も無い膨大な数の卵である。

 

産卵後しばらくして、繁殖行動に体力を使い果たしたメスはその生涯を終える。

 

そしてその後、生まれてくる大量の“新たな命”のうちのほとんどが他の魚類等の生物に捕食され、生き残るのは僅かである。

 

ところで、多くの種類が存在する『イカ』であるが、その中でも今回注目したい1つが『カナダイレックス(Illex illecebrosus)』という種である。

 

大西洋 西側北米沿岸を主な生息域とするそれらは繁殖行動後の真夜中、とある“驚愕の行動”にでる。

 

なんと!『カナダイレックス』は大群を成して、自ら「海岸方向」へと泳ぎ進み、砂浜へ上がってしまうのだ。

 

当然その後、それらは全て干乾び死に至る。

 

これが『カナダイレックス』

 

“集団自殺”

 

と呼ばれる行動である。

 

翌朝、その海岸にはおびただしい数の『カナダイレックス』“死骸”が打ち上っている景色を見ることができる。

 

また、我が国日本でも同様の現象、『イカ』“集団自殺”が見られる場所がある。

 

“島根県の隠岐諸島”のとある海岸は、古くより「イカ寄せの浜」と呼ばれ、大量の『ケンサキイカ』や巨大な『ソデイカ(Thysanoteuthis rhombus)』が打ち上げられることがあり、島民らはこれらをワイワイ拾うのだ。

 

“イカ釣り”は聞いたことがあるが、まさか“イカ拾い”という熟語が存在するとは驚きだ。

 

この『イカ』たちの繁殖行動後の“集団自殺”なぜ起こるのかという理由は未だに解明されていない。

 

データや文献が圧倒的に少なく、詳しいことは“謎”なのだ。

 

・”潮の満ち引き”によるという説

 

・摂取したエサに含まれる何らかの”毒素”が”方向感覚を狂わせ”岸まで移動させるという説

 

なども挙がっているようだが、筆者としてはどちらもイマイチしっくり来ない。

 

一度、『カナダイレックス』“集団自殺”の映像を見たことがあるのだが、それらはまるで自身の「強い意志」で海岸まで這い上がっていくように見えた。

 

そこで筆者が独自に考えてみた“3つの仮説”を以下に記す。

 

※あくまで、『イカ』の専門家でも何でもない筆者個人の意見であるので、是非お手柔らかに読んでいただければ幸いである。

 

◆仮説1:その種全体の個体数を一定に保つため

 

元来、生命にはその種の個体数が「減り過ぎても増え過ぎてもならない」という概念が存在する。

 

減り過ぎると“絶滅”してしまうし、増え過ぎると今度は“食料の不足”“近親相姦(血縁が濃くなり過ぎる)の危険性”が生じてしまう可能性があるからだ。

 

この概念に関しては、『ライオン』の頁でも同じく触れているので、そちらも参考にしていただきたく思う。

 

よって、子孫を残した後、親(いずれ力尽きて死す運命が待っていようとも)が自ら命を絶つことで、個体数を”コントロール”しようとしているのではないか。

 

◆仮説2:進化(水中→陸上へ)の可能性を探るため

 

我々の祖先とも言える「太古の生物」たちは皆、水中に棲息していた。

 

しかし、そんな中の1種類が陸上(広い世界)への可能性を抱き、長い世代を重ね、遂に大地を踏みしめたのである。

 

これが「進化」だ。

 

実際、同じ”軟体動物”でも、「カタツムリ」「ナメクジ」のように陸上生活を送っているものがいる。

 

無謀な海岸への上陸。

 

現代の『イカ』たちもまさに今、陸上適応への“進化の可能性”を探っている途中なのではないだろうか。

 

◆仮説3:海中の他種が自らの死骸を捕食し繁栄するのを防ぐため

 

上述の通り、彼ら『イカ』は産卵後に力尽き息絶える。

 

「死骸」は海底に沈み、やがて他の生物の”捕食対象(エサ)”となるだろう。

 

そのおかげでこの捕食者の血となり肉となり、そして“繁栄”に繋がっていく1つの要素となり得る。

 

まさか『イカ』たちはその他種の”捕食(食べられる)”と”繁栄”を防ごうと、最期の力を振り絞り、砂浜へ己の身を投げるのではないだろうか。

 

 

“謎”という「ロマン」を秘めた『イカ』の生態。

これがきっといつの日か解き明かされるだろうことを心待ちにしておこう。

 

分類
動物界 Animalia
軟体動物門 Mollusca
頭足綱 Cephalopoda
亜網 鞘形亜綱 Coleoidea
上目 十腕形上目 Decapodiformes
シノニム

Decembrachiata

(Winckworth, 1932)

和名

イカ(烏賊・鰞)